2020/08/27
石鹸と界面活性剤
夏休みをいただいて布団に倒れていました。ほぼ一週間ほとんどの時間を布団に倒れながら天井を見つめて過ごしていたので体が痛いです。
今回は弊社の栗山が「石鹸と界面活性剤」というテーマで話しました。
依然コロナ禍が続いており、そんな中で経済を回すことやワクチンの開発も重要ですが、まず大事なのは感染を防ぐことです。そこで費用対効果的にも現状優先すべきは手洗いの徹底であると私は考えています。
そこで、普段から利用する「石鹸と界面活性剤」について、より理解した上でうまく使えるように、仕組みや特性について話したいと思います。
学校の理科の実験で作成することもあるそうですが、油脂(パーム油など)とアルカリ(水酸化ナトリウムなど)を鹸化反応させることで簡単に作ることができます。
固形石鹸を作る時に使われるアルカリは大体がナトリウムで、液体石鹸やハンドソープなどにはカリウムが使われることが多いらしいです。
生成物は界面活性剤に変化します。これについては次の項で説明します。
薬事法的には医薬品、医薬部外品、化粧品というふうに分類され、輸入品の石鹸のような薬事法申請されていないものは、その他に分類されるようです。
医薬品の石鹸というのは医療現場で用いられるもので、一般的に使われるものではありません。
薬用石鹸を謳っているミューズなどを医薬部外品といい、一定の効能を書く権利が薬事法的に許されています。
界面活性剤には、天然・人工ともに様々なものが存在し、特に人工的なものでは多数の分子構造を持つものが開発されています。
分子構造によってアニオン界面活性剤や両性界面活性剤といったふうに名前と、また特徴が変わるので、それぞれの特徴によってシャンプーや衣料用洗剤に用いられたりと、用途が使い分けられています。
石鹸・洗剤としての界面活性剤の役割は「皮膚や衣類などに付いた油汚れを浮かせて洗い流すことができるようにすること」です。
親水性の汚れや細菌などは、流水で洗い流すことで多くを除去することができますが、油汚れのような親油性のものは、流水だけでは対応できません。そこで、石鹸の持つ界面活性剤の働きを活かして、親油性の汚れを洗い流しています。
通常、水には分子同士がお互いに引っ張り合う表面張力という力があり、その力のせいで空中では球形に、皮膚などの上では半球状になろうとするのですが、表面張力が弱まることによって水の分子の結合が弱まり、手洗い時に皮膚のシワなどの隙間に入り込みやすくなります。
さらに、水に石鹸を溶かすなどして、水中の界面活性剤濃度が高くなると、界面活性剤同士が集まって整列し、ミセルという形状を形成します。
ミセルとは、内側に親油基、外側に親水基を向けた球体のことです。
それに油汚れが接着すると、油汚れがミセルの中に取り込まれ、水と混じりあった状態になります。
手洗いの時に、この二つの働きが作用し、水によって流されることによって、汚れが落ちるという仕組みです。
界面活性剤についてもう少し詳しく知りたいという方はこちらをご覧になってみてください。
これを効果的に落とすため、手洗い時には石鹸を使うことが推奨されています。
石鹸を使う際には、こすって落とすわけではなく、界面活性剤の効果を使って皮脂に付着したもの、それ以外のものを洗い落としやすくする事が重要です。 なので、最後の水洗いを長めにやることもポイントになります。
また、石鹸を泡立てることで、石鹸の表面積を大きくし、少ない石鹸量で効果的に皮膚に行き渡らせ、一定の滞留時間を得てミセル化する余地を多くします。
石鹸を多く使うと、必要な皮脂まで流してしまうことになるため(肌荒れなどを引き起こす)、必要最低限の石鹸量で手洗いするようにしましょう。
新型コロナウイルスは二重の脂質で覆われていて、それが界面活性剤の親油基と結合することにより、王冠様の突起(スパイク)が潰され、ウイルスが体内細胞に感染できなくする効果があるという報告もあります。
しかし、ある程度界面活性剤の濃度が必要なのと、これについての論文数がまだ少ないこともあり、あまりそこだけに依存して生活するべきではありません。とはいえ無駄ではないと思います。
外出時にはマスクをつける。こまめなアルコール消毒。外から帰宅したらしっかり手洗いする。それら日常的にできることをやりながら感染を防ぐようにしましょう。
今回は弊社の栗山が「石鹸と界面活性剤」というテーマで話しました。
依然コロナ禍が続いており、そんな中で経済を回すことやワクチンの開発も重要ですが、まず大事なのは感染を防ぐことです。そこで費用対効果的にも現状優先すべきは手洗いの徹底であると私は考えています。
そこで、普段から利用する「石鹸と界面活性剤」について、より理解した上でうまく使えるように、仕組みや特性について話したいと思います。
※今回の話は全体として「諸説ある話」の紹介です。ご注意ください。
石鹸とは
石鹸は紀元前3000年から存在が確認されており、肉を焼いたときに滴り落ちた油と薪の灰が混じり、そこに雨が降ることで鹸化反応が起こって自然発生的に誕生したと言われています。学校の理科の実験で作成することもあるそうですが、油脂(パーム油など)とアルカリ(水酸化ナトリウムなど)を鹸化反応させることで簡単に作ることができます。
固形石鹸を作る時に使われるアルカリは大体がナトリウムで、液体石鹸やハンドソープなどにはカリウムが使われることが多いらしいです。
生成物は界面活性剤に変化します。これについては次の項で説明します。
薬事法的には医薬品、医薬部外品、化粧品というふうに分類され、輸入品の石鹸のような薬事法申請されていないものは、その他に分類されるようです。
医薬品の石鹸というのは医療現場で用いられるもので、一般的に使われるものではありません。
薬用石鹸を謳っているミューズなどを医薬部外品といい、一定の効能を書く権利が薬事法的に許されています。
界面活性剤
先ほど名前が出ましたが、分子内に親水基と親油基(疎水基)の両方を持つ物質の総称です。石鹸も界面活性剤になります。界面活性剤には、天然・人工ともに様々なものが存在し、特に人工的なものでは多数の分子構造を持つものが開発されています。
分子構造によってアニオン界面活性剤や両性界面活性剤といったふうに名前と、また特徴が変わるので、それぞれの特徴によってシャンプーや衣料用洗剤に用いられたりと、用途が使い分けられています。
石鹸・洗剤としての界面活性剤の役割は「皮膚や衣類などに付いた油汚れを浮かせて洗い流すことができるようにすること」です。
親水性の汚れや細菌などは、流水で洗い流すことで多くを除去することができますが、油汚れのような親油性のものは、流水だけでは対応できません。そこで、石鹸の持つ界面活性剤の働きを活かして、親油性の汚れを洗い流しています。
汚れを落とす仕組み
界面活性剤には表面張力を弱める、という働きがあります。通常、水には分子同士がお互いに引っ張り合う表面張力という力があり、その力のせいで空中では球形に、皮膚などの上では半球状になろうとするのですが、表面張力が弱まることによって水の分子の結合が弱まり、手洗い時に皮膚のシワなどの隙間に入り込みやすくなります。
さらに、水に石鹸を溶かすなどして、水中の界面活性剤濃度が高くなると、界面活性剤同士が集まって整列し、ミセルという形状を形成します。
ミセルとは、内側に親油基、外側に親水基を向けた球体のことです。
それに油汚れが接着すると、油汚れがミセルの中に取り込まれ、水と混じりあった状態になります。
手洗いの時に、この二つの働きが作用し、水によって流されることによって、汚れが落ちるという仕組みです。
界面活性剤についてもう少し詳しく知りたいという方はこちらをご覧になってみてください。
新型コロナウイルスと手洗い
ウイルス・細菌は手の皮膚、および皮膚の油脂成分に付着します。これを効果的に落とすため、手洗い時には石鹸を使うことが推奨されています。
石鹸を使う際には、こすって落とすわけではなく、界面活性剤の効果を使って皮脂に付着したもの、それ以外のものを洗い落としやすくする事が重要です。 なので、最後の水洗いを長めにやることもポイントになります。
また、石鹸を泡立てることで、石鹸の表面積を大きくし、少ない石鹸量で効果的に皮膚に行き渡らせ、一定の滞留時間を得てミセル化する余地を多くします。
石鹸を多く使うと、必要な皮脂まで流してしまうことになるため(肌荒れなどを引き起こす)、必要最低限の石鹸量で手洗いするようにしましょう。
新型コロナウイルスは二重の脂質で覆われていて、それが界面活性剤の親油基と結合することにより、王冠様の突起(スパイク)が潰され、ウイルスが体内細胞に感染できなくする効果があるという報告もあります。
しかし、ある程度界面活性剤の濃度が必要なのと、これについての論文数がまだ少ないこともあり、あまりそこだけに依存して生活するべきではありません。とはいえ無駄ではないと思います。
外出時にはマスクをつける。こまめなアルコール消毒。外から帰宅したらしっかり手洗いする。それら日常的にできることをやりながら感染を防ぐようにしましょう。