趣味から始めたゲーム開発

目次
イルカを助けて仲良くなりたいです。
この記事は、社内イベント「お茶会」での発表内容をもとにまとめたものです。
今回は弊社のnakanoが「趣味で行っているゲーム開発」について話しました。
ゲーム開発関連の記事
趣味でゲームを作っています。
今回は、どのようにしてゲーム開発に興味を持ち、どんな経験を積んできたのかをお話ししたいと思います。
01 ゲーム開発に興味を持ったきっかけ
元々は映像制作の分野にいたのですが、台湾で働いていた時、ある新卒の学生を面接する機会がありました。
その会社は主に映像CGを制作しており、応募してくる人のポートフォリオもほとんどが映像作品や静止画。しかし、その中にゲームの作品をポートフォリオに入れている学生がいました。
当時、ゲーム開発にはまったく関わったことがなく、作り方もわかりませんでした。それでも、ゲームの作品を持ってきたことに強く感銘を受け、ゲーム開発に興味を持つように。
その後、ゲーム業界に進む学生が多い学校で非常勤の講師をすることになりました。ここでゲーム開発に関わるようになり、実際に制作を行うことになります。
02 専門学校でのゲーム開発プロジェクト
非常勤講師として授業を受け持つことになった学校では、卒業生の約 8 割がゲーム業界に進むにもかかわらず、ゲーム開発の授業がありませんでした。
実践経験なしでゲーム業界に入るのは厳しいのではないか? と思い、私が担当していたポートフォリオの授業内で、実際にゲームを開発するプロジェクトを立ち上げることに。
本来この授業では、就職活動で企業に提出する作品のブラッシュアップや面接の練習などを行っていましたが、早く就職が決まった学生はやることがなくなり、授業の時間を持て余していました。せっかくの機会なので、実践的なことをさせたいと考えたのも理由のひとつです。
ゲームプログラミングの学科はあったものの、学科間の連携がなく、このプロジェクトにはプログラマーがいませんでした。そこで、自分もやってみたかったので、プログラムを担当することに。
学校にはゲーム開発の授業がなく、授業内でゲームを作るのは異例でした。それでも進めていくうちに形になり、成果を評価され、最終的には卒業制作として認められました。
学校のイベントで展示され、翌年度からはゲームプログラミングの学生も加わり、学科のつながりも広がっていくことになります。
開発の進行とスケジュール
ゲーム開発プロジェクトは、9 月にスタートし、2 月の学校イベントでの展示を目標に進めました。
全員がゲーム開発未経験(ゲームエンジンを使った授業は一部で受けていたものの、チームでゲームを作った経験はほぼありませんでした)。
デザインアセットの取りまとめや、ゲームエンジンへの実装は私の担当です。
- プログラマー: 自分
- デザイナー:
- 背景モデラー・エフェクト: Oさん
- キャラクターイラスト・UI・キャラモデラー・テクスチャー: Kさん
- アニメーション: Tさん(台湾からリモートで参加)
- 3Dキャラデザイン: Nさん
開発の経験が少ないため、スケジュールを立てることや計画通りに作業を進めることに苦戦し、進捗が遅れる場面もありました。
- 9月: プロジェクト開始(何を作るか、担当をどうするかを決定)
- 12月: ひとまず形にし、残りの期間をデバッグや調整に充てる予定だった
- 年末: プログラムの実装が追いつかず開発を継続
- 2月: なんとか完成し、学校イベントで展示
開発中の出来事
開発が進む中で、学生から様々な要望も出てきました。特に印象的だったのは、ランキングシステムの実装を求められたことです。
「サーバーを立ててスコアを記録したい」とのことでしたが、その当時はまだサーバーについて何の知識もありません。
そもそも学校の展示環境ではネットワーク接続ができず、ゲームは順番に体験する形式だったため、スコアをローカルストレージに保存する方法で対応することに。結果として、それで十分に機能しました。
この提案をした学生は開発にも積極的に関わり、現在はエフェクトアーティストとして活躍しています。
03 開発したゲームの紹介
専門学校でのプロジェクトを通じて、学生とともに試行錯誤しながらゲームを開発しました。
全員が初めてのゲーム制作という状況の中、半年間の取り組みの末、形にすることができたのが「リトと荒野の宝物」 です。
また、個人開発として制作し、リリースまでこぎつけたモバイルゲーム「Crazy Chicken Curve」もあります。
ここでは、それぞれのゲームの内容と開発背景を紹介します。
①リトと荒野の宝物
ジャンル:3Dアクションゲーム
開発期間:2020 年 9 月〜2021 年 2 月
プラットフォーム:Windows
使用エンジン:Unreal Engine 4
半年にわたる専門学校でのプロジェクトの結果、無事に完成、公開できました(学校のイベントで展示されましたが、一般公開はしていません)。
剣による攻撃と盾による防御、さらにローリングによる回避を駆使しながら、3Dのマップを敵を倒しながら進んでいくシンプルなアクションゲームです。
ボス戦では、体力が半分以下になるとボスが赤くなる演出を入れ、戦闘の盛り上がりを演出。プレイ動画を見てもわかりにくいかもしれませんが、実はキャラクターの表情も状況に合わせて変化します。
開発には Unreal Engine 4 を使用。学生と共同で制作し、自分はプログラムを担当しました。
②Crazy Chicken Curve
ジャンル:飛行シミュレーター(モバイルゲーム)
開発期間:2021 年 3 月~ 5 月
プラットフォーム:iOS(現在はストア非公開)
使用エンジン:Unreal Engine 4
鳥が燃料を切らさないように空を飛びながら、球を避けるシンプルなゲームです。
高校生の頃にガラケーで遊んでいたゲームをベースに開発しました。
プロトタイプは数年前に完成しており、この期間では主にアセットの作成を進めていました。トレンドに合わせて、着せ替え要素を豊富にしてあります。
iOS 向けにリリースしましたが、現在は Apple の開発者アカウントの更新をしていないため、ストアでは公開されていません。Android 版も公開を試みましたが、うまくいかず断念しました。
これまでに様々なゲームを開発してきましたが、実際に完成まで持っていくのはとても難しいことでした。アイデアを形にするだけでなく、テストや調整を重ね、最終的に公開できた作品はほんのわずかです。
04 UNREAL ENGINE 4 とは
現在では UNREAL ENGINE 5 が主流になっていますが、私がこれらのゲームを開発していた当時は UNREAL ENGINE 4 を使っていました。
そもそも UNREAL ENGINE とは、「ゲーム開発に使われる統合ソフトウェア(ゲームエンジン)」のことです。
主なゲームエンジンには、以下のようなものがあります。
- Unreal Engine
- リアル系グラフィックに強い統合ソフトウェア
- ノードベースのプログラミングシステム
- Unity
- 初心者、プロ問わず長年親しまれておりユーザー数が一番多い
- アセットストアが豊富
- Godot
- 軽量で2Dゲーム開発に強い
- 完全無料のオープンソース
- CryEngine
- フォトリアルなグラフィック向き
- FPSやオープンワールドに最適
私が Unreal Engine を使っていた理由は、「Blueprint(BP)」というノードベースのプログラミングシステムがあったからです。 BP を使えば、C++ を書かなくても本格的なプログラムを組むことができました。さらに、機能がノード単位でまとまっているため、タイプミスが発生しないというメリットもあります。
当時、私はデザイナーとして働いており、コードを書くことに抵抗があったのですが、BP のおかげで少しずつプログラミングの基礎を学ぶことができ、ゲームの仕組みを理解する手助けになりました。
05 Unreal Engine から Godot へ
Unreal Engine 4 で多くのことを学び、とても感謝しているソフトウェアではありますが、個人開発を考えたときにいくつかの課題がありました。
Unreal Engine は非常に高機能なエンジンですが、個人開発ではオーバースペックになりやすく、扱いづらい場面が多いことが問題でした。
特に 2D ゲームの開発があまり得意ではない という点も移行を考えた理由の一つです。
Unreal Engine でも 2D ゲームは作れますが、2D 開発向けのツールやワークフローが整備されておらず、外部プラグインに頼る場面が多いという課題があります。
また、3D ベースのエンジンであるため、2D の処理が過剰になり、動作が重くなりがち という点も気になっていました。
趣味としてゲーム開発を続ける中で、より軽量でシンプルなゲームエンジンが必要になり、新しい選択肢を探すことに。
移行の基準
選ぶ際の基準として重視したのは、次のようなポイントです。
- 完全無料で使えること
- 軽量で動作が快適なこと
- 2Dゲームの開発に適していること
- シンプルで扱いやすいこと
この条件に合うものを探していく中で見つけたのが、Godot Engine。
Godot 自体は以前から存在していましたが、エンジンが大幅に書き直され、より使いやすくなったという話を聞き、試してみることにしました。
Godot Engine とは?

Godot は、完全無料・オープンソースのゲームエンジンで、シンプルな設計が特徴です。
主な特徴として、以下のような点が挙げられます。
- GDScript は Python に似た独自言語で、初心者でも扱いやすい
- C# も使用可能 で、柔軟な開発ができる
- Windows、Mac、Linux、iOS、Android、Web などに対応
- 軽量で、シンプルな UI を持ち、直感的な操作が可能
- VSCode などの外部エディタとも連携可能(ただし一部不具合あり)
特に 2D 開発のしやすさが魅力でした。
Unreal Engine では 2D ゲームを作るのに苦労しましたが、Godot は最初から 2D 向けの機能が整っており、スムーズに開発できます。
とはいえ、Godot はまだ使い始めたばかりで、本格的な開発はこれからです。
機能がシンプルである分、Unreal Engine とは違った考え方を求められる場面もあり、実際にどう使いこなせるかを試行錯誤している最中です。
今後、Godot を実際に使ってみた感想や、開発の流れについてお話しできればと思います。
06 まとめ
ここまで、ゲーム開発を始めたきっかけや、専門学校でのプロジェクト、個人開発の経験についてお話ししました。
ゲームを形にするのは簡単ではなく、途中で行き詰まることもあります。
最後まで完成させ、公開までこぎつけた作品はほんのわずかです。
それでも、開発を続ける中で得られる経験や学びは大きく、手を動かしながら工夫を重ねていくことが何よりも大切だと感じています。
この発表が、ゲーム開発に興味がある方や、これから挑戦してみようと思っている方にとって、少しでも参考になれば幸いです。

S2ファクトリー株式会社
様々な分野のスペシャリストが集まり、Webサイトやスマートフォンアプリの企画・設計から制作、システム開発、インフラ構築・運用などの業務を行っているウェブ制作会社です。
実績
案件のご依頼、ご相談、その他ご質問はこちらからお問い合わせください。